■皆さま如何お過ごしですか?
あっという間にGWも中盤。爽やかで過ごしやすい季節ですね。
<もくじ>
・皐月の由来
・今月の花鳥風月【ウグイス】
・五月病とストレスへの対処法
・焦燥感を抑えるツボ【内関】
■皐月の由来
5月は旧暦の和風月名で【皐月(さつき)】です。
5月の下旬から7月初め、田植えの季節にあたります。【早苗月(さなえつき)】から【皐月(さつき)】に変わったという説もあるようです。
もう少し先の時期になりますが、青々とした早苗が広がる田園風景を思い浮かべると気持ちがいいですね。
元気に育っていっぱい実り、早くお米が安くなるのをお祈りしましょう。
■今月の花鳥風月【ウグイス】

■春といえば、ウグイス。
ホーホケキョと鳴く、あの鳥です。
よく見かける緑色で目の周りが白い小鳥を見てウグイスだと思う方も多いのですが、あれはメジロです。実際のウグイスは結構地味な色をしています。
さらに藪をサーっと渡っていくので実際に目にするのはなかなか難しいです。
声はすれども姿は見えず、ほんにお前は、というやつです。
■ホ―――――ホケキョ!
と、一人前にきれいに鳴くのはなかなか難しいらしく、
ホ―――――、ケキョ!とイマイチな感じで鳴くウグイスも多くて、春先にそういうのを聞くと、なんともかわいい感じがして、頑張れー!と応援したくなる気持ちになります。
そういえば昔、父が元気だった頃、突然ウグイスの声が入ったカセットテープを買ってきて家のセキセイインコに教育をしていたの思い出しました。
彼も頑張りましたが、やっぱりケキョ、ケキョ、という感じだったようにうっすらと記憶しています。
■五月病とストレスへの対処法
■GWが明けると、エネルギーが抜けたようになって会社や学校に行くのがつらくなる、いわゆる五月病になる人が出てきます。
五月病になるのは新社会人や新入生だけではなく、4月になり新しい職場やクラスになったり、仕事の内容、上司やメンバーが変わって、その影響を受けてしまう場合もあります。
症状としては、鬱々して何もする気が起きない、人間関係が億劫になる、イライラしたり、漠然と不安になったりします。
身体的には、疲れが取れない、食欲がない、動悸、寝つきが悪い、頭痛やひどい肩こりなど、が出ると言われています。
■自律神経の観点で言うと、強いストレスに耐えるために常に交感神経が興奮している状態がひと月ほど続いたところでGWに入り、ふっとその緊張が途絶えることで、全体のバランスを崩してしまった状態といえます。
東洋医学的には【肝】の疏泄機能が阻害された【気滞】の状態です。
春は、あらゆる生命がのびやかに育つ季節です。
しかし強いストレスによって胸の肋骨の下あたりが痞えて本来ののびやかさを阻害、エネルギーや血液などの自然な流れが滞ってしまいます。
そうすると心は鬱々とし、さらにはイライラして急に怒り出したり、身体的には胸の痞えや頭痛、肩こり、めまい等がつらくなるなどの症状が現れます。
これが【気滞】です。
■外からやってくるストレスは、なかなか自分でコントロールできないものです。
なので、そういうときに自分で出来る対処法のヒントをお伝えします。
■【その1】深く長く息を吐いて緊張を取る
ストレスがかかると体も気持ちも緊張して固くなります。
まずは、呼吸でこれを緩めましょう。
① 軽く息を吸います
② 力をゆるめて、は―――――、と軽く息を吐きます
③ さらに細く長く息を吐きます
④ さらに細い糸のようになって途切れるまで息を吐きます
⑤ 力を緩めると自然に息が吸えています
これを、しっかりと一回だけやってみてください。
息を長く吐くことに一生懸命にはならず、するする―っと自然に息が出ていく感じです。
温泉にはいって「は―――――」とリラックスして出てくる息の感覚で最後の最後まで細く長く出ていく息を感じながら吐くのがコツです。
横隔膜の緊張がゆるみ、いい感じでリラックスできていると思います。
■【その2】ストレスから距離をおいて、心地の良い時間をとる
・ストレスの対象を一旦横に置いておいて、好きなこと、熱中できることをして気をそらす
・気持ちのいいお布団でゆっくり眠る、おいしいものを食べる、リズミカルな軽い運動を楽しむ
ストレスから離れているうちに、いつの間にか気が楽になっている、いつの間にか何とかなってる。
そういうイメージです。
一見、普通のことのようですが、ストレスに【巻き込まれて】しまうと気持ちが焦ってしまって、なかなかこれが出来ません。
注意がストレスの対象に囚われてしまい、「そんなこと言ったってさ!」と、なかなか休む気持ちになれないのです。
大切なのは自分がストレスに【巻き込まれて】いることに自ら気付いて、思い切ってエィ!と、そこから離れ、「間」を作ることです。
そうすると、それがストレスからくる悪循環を止める切っ掛けとなり、心も体もいい方向に動き始めるというわけです。
■【その3】新生活はゆるいリズム作りを優先
おだやかな活力が戻ってきたら、100点とか80点は目指さずに30点でいいや、くらいの心持ちでリズムを優先した生活を続けてみましょう。
自転車も漕ぎ始めは力が要るし、ふらふらとなかなか安定しませんが、リズムがとれてくれば、あまり苦も無く走り続けることができます。
新たな生活や環境も同じで、リズムがつかめると同じストレスを受けても感じ方や捉え方が大きく変わってくるものです。
また、30点目指しのゆるめのリズムを刻むことで力みが抜けて、むしろいい結果につながることもあるかもしれません。
焦りを感じたら、ふーと一息ついて、少しゆるめのリズムを目指しましょう。
■人それぞれ、置かれている状況は違います。
絶対にこれがいい、という正解は無いのかもしれません。
けれど、これらのことは一般論として心にも体にも決して悪いことではないので、ちょっと試してみるのもいいのではないでしょうか。
■なお、生活に影響が出るようなつらい症状が2週間も3週間も続く、あるいは症状が激しいようであれば、単なるストレス症状ではなく何等かの病気が背後に隠れている可能性もあります。
そういう場合は安心のために、血液検査やCTなどの画像診断が出来る大きめの病院で検査をしてもらうことをお勧めします。
■また、何も出来ない、考えられない、動けない等、エネルギーが枯渇してしまったようなつらさがあるときには、お布団に入り、やわらかい大きな枕などをぎゅーっと抱きしめて、体を丸めて目をつぶり、じっとエネルギーの回復を待ちましょう。
このつらい状態が永遠に続くかのような不安に襲われるかもしれませんが、いい波は必ず訪れます。人間は結構大丈夫に出来ています。
そのうえで、それが長く続くようであれば心療内科等へ行くことも選択肢として考えてみるのも良いかと思います。
医師の処方に従って適度にお薬に頼るのも悪いことではありません。
■焦燥感を抑えるツボ【間使(かんし)】
■焦る気持ちが沸き起こり、急き立てられるような感情を「焦燥に駆られる」などと言いますが、症状としての焦燥感は、体中がいらいらして落ち着かない感じです。
ストレスなどから胸の痞えを生じて体をめぐるエネルギーが滞ることを【気滞(きたい)】といい、気分が塞ぎ、また急にイライラし、胸の奥や体中に焦燥感を覚えます。
さらに悪化していくと、怒りっぽくなったり、頭痛や強い肩こり、めまい等を生じます。
今回は、そんなストレス症状によくみられる焦燥感を抑えるツボ【間使(かんし)】をご紹介します。
■<ツボの取り方>
【間使】(かんし)
【間使】は手首の内側にあります。
手首の関節のしわ(手首が深く曲がるところ)から、第二関節部の幅で指4本分肘方向に行ったところ。
手首のちょうど真ん中あたりにある二本のスジの隙間、筋が一本しかない場合はその小指側のすぐ脇に取ります。

■<刺激の仕方>
指先で軽く押さえて刺激するのも良いですが、今回は米粒を使った刺激法をご紹介します。
1.お米を一粒用意します。
2.絆創膏やガーゼを留めるような医療用テープにお米を貼り付けます。
3.お米がちょうど【間使】に当たるように貼り付けます。(お米が当たっている刺激が強過ぎず、ちょうどいい感じで)
4.そのまま、過ごします。
5.焦燥感が強いときには、絆創膏等の上からお米を軽くゆっくり押さえて【間使】に刺激を与えます。強く押し過ぎないように注意します。
慣れてくると、【間使】あたりを指先で軽くなでてみると、ここかな、という「ツボ感」がわかってくると思います。正確に場所が取れると効果も出やすくなります。
【間使】の少し手首側(手首から第一関節指3本分)にある【内関(ないかん)】も同様の効果が見込めます。こちらの方が効く場合もあります。
焦燥感にお悩みの方や、気分を落ち着かせたい方は、是非いろいろ試してみてください。
■なお、ツボに刺激を与えるパイオネックス(ツボに貼るシールで微小な鍼がついている)というものがあるのですが、そのなかでも鍼が付いておらず小さな突起で刺激する・パイオネックス・ゼロという商品があります。
【間使】に関しては、お米の方がしっかり効く感じがしてお勧めなのですが、ちゃんとした商品をということであれば、こちらも参考にしてください。
なお、鍼がついている商品を使われる場合は、お風呂に入る時にこすってずれてしまった時に皮膚に引っかき傷を作ってしまうことがあるので、ご注意ください。

■今月号の内容は以上です。
「よい睡眠」、「適度に運動」、「おいしくご飯」
今月も健やかに参りましょう!
それでは、また♪
相模大野ひよこ堂鍼灸院 院長
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