■良い睡眠の効果とその取り方について

良い睡眠 呼吸・姿勢・運動法など

睡眠は大切

というのは大抵の皆さん同意されることかと思います

それでも、日々のやることが多くて睡眠時間を削って、なんとか日々をしのいでいるという方も多いのではないでしょうか

睡眠時間もさることながら、睡眠の質が体の調子を維持するために大事だということ、その質を確保するために気を付けることについて、今回はまとめていきます

眠りってやっぱり大事だあな、という実感とその改善のヒントに少しでもお役に立てればと思います

●睡眠の時間と質

■睡眠は深い眠りと浅い眠りの約90分サイクルで成り立っていて、一晩に3~5回そのサイクルを繰り返します。

寝はじめのサイクルでは深い眠りが多く、起床に向けて次第に浅い眠りが増えていきます。

■ご存じかもしれませんが、睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります

ノンレム睡眠

【ノンレム睡眠】にはN1,N2,N3の3段階があってN3は徐波睡眠というとても深い眠りで、睡眠の前半のはじめの方に多く現れます。

主副交感神経が主体となり、脳と体の休息と修復が行われています

レム睡眠

【レム睡眠】は眼球が動く(急速眼球運動 : Rapid Eye Movement)ことが特徴のいわゆる浅い眠りで、睡眠の後半に比較的多くみられます

交感神経がはたらき始め、脳も活発に活動してリフレッシュされます

■睡眠の質、といわれると深い睡眠が大事と思いがちですが、深い眠りも浅い眠りも、どちらも大切です

したがって深い質の高い眠りと一定の睡眠時間の確保が必要になってくるわけです

それでは、睡眠はどのように体の調子に関わってくるのか、具体的にみていきましょう。

●よい睡眠で得られる効果

■起きている時だけでなく、睡眠中も自律神経、ホルモンや、各臓器が協調しながら複雑にはたらいていて、しっかりした睡眠をとることによる良い効果は多岐に渡ります

ここで上げる睡眠の効果は当たり前のことばかり、と思われるかもしれませんが、その仕組みをイメージすることでより深く実感して頂ければと思います

①能力が向上し、気持ちも安定する

■記憶や学習・技能が定着し、思考や判断力、注意力が向上、情緒も安定して感情の乱れや不安が少なくなります

それは、眠っている間に脳のリフレッシュや栄養の補給だけでなく、日中に受けた刺激による神経のつながりの整理と強化が行われているからです

<ノンレム睡眠(深い睡眠)>

・記憶の強化や固定化

・技能やノウハウの固定化

・脳内の老廃物の洗浄

<レム睡眠>

・脳の栄養補給、CO2や老廃物の回収

・記憶の整理・強化

・不愉快な記憶を忘却させ、固定化させないはたらき

②体が修復・維持され、疲労も回復、若さを保つ

■睡眠前半の深い眠りの時には成長ホルモンが分泌されます

役割としては、

・骨や筋肉の再合成による維持・成長

・傷ついた組織の修復

・新陳代謝の促進(皮膚の潤いやハリ、色艶)

■また、睡眠の後半の浅い眠りの時間帯では交感神経がはたらき始めますが、それも体の組織の維持に関わります(交感神経のはたらきのバランスがとれる)

・筋肉の成長(テストステロンの分泌)

・骨や筋肉の損傷や衰えの進行を防ぐ(交感神経の過剰な亢進を抑える)

・目の下のくまや皮膚の老化を防ぐ(皮膚の血流が安定し栄養が補給される)

③免疫が安定し、健康を保ちやすくなる

■睡眠をしっかりとっておけば、免疫細胞がしっかりはたらいて侵入した異物を排除してくれます。

また、過剰な炎症を抑える作用もあり、バランスの取れた適切な免疫のはたらきを維持します。

・風邪をひきにくくなる(リンパ球の量や活性が適切に増加)

・慢性炎症を抑える(炎症を引き起こすサイトカインを抑制する)

※慢性炎症:だらだらとした弱い炎症が続いている状態。継続的な炎症は血管や神経、各臓器などにダメージを与える。自己免疫疾患、肥満、糖尿病、動脈硬化、アトピー性皮膚炎、喘息、COPD、うつ病、アルツハイマー病(認知症)、がんなどと深く関わる
【参考】免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か(宮坂昌之、定岡恵 著 ブルーバックス2018年12月刊)

④体を一定の状態に保つはたらきが安定する

■我々の体には、状態を一定に維持する機能(恒常性:ホメオスタシス)が備わっていて、そこには内分泌系(ホルモン)・免疫機能・自律神経系が関わっています

しっかりとした睡眠と生活リズムは、この恒常性機能を安定させます

・朝の目覚め、午前の調子が良くなる(朝のホルモンが適切に分泌される)

・神経が落ち着く、イライラしにくくなる(甲状腺ホルモンのバランスが取れる)

・疲労感軽減、生理の安定、不妊になりにくい(性ホルモンの適切な分泌)

・胃腸の調子が良くなる(自律神経系と腸管神経系のはたらきが安定)

・太りにくくなる(食欲ホルモンと満腹ホルモンが適切に分泌される)

・夜間頻尿の抑制(抗利尿ホルモンの適切な分泌)

●睡眠の仕組み

■それでは、よい睡眠を取る方法を考えるために、まずはそのメカニズムをみていきましょう

■睡眠のメカニズム

■睡眠は、

・日中の活動時に体中の細胞で作られる【アデノシン】が睡眠中枢に働きかけることによる【睡眠圧】

・起きているときに視床下部で作られる【オレキシン】が覚醒中枢に働きかけることによる【覚醒】

このふたつのバランスで成り立っています

■一方、覚醒物質である【オレキシン】は脳内の一部のタンパク質を変化させ(リン酸化)、それが一定の量を超えると鹿威しが「かっこーん」と倒れるように眠りのスイッチが入って【睡眠圧】側に倒れて一気に睡眠に落ちる、という仕組みになっているようです

つまり、睡眠を促する【アデノシン】と覚醒を維持する【オレキシン】の両方がバランスよく増えていることが大切だということです

■例えば、夜にコーヒーを飲むとカフェインが睡眠物質【アデノシン】のはたらきを妨げて【睡眠圧】を下げて眠りに入る力が低下してしまいます

また、日中から寝る前に30分以上の深い眠りを取ってしまうと、覚醒物質【オレキシン】による効果が解除され、なかなか眠りのスイッチが入らなくなってしまいます

■さて、一度眠りに入ると、今度は【睡眠圧】が解除されるまで眠りが続きます

そして朝になり、約24時間周期の体内時計による【覚醒シグナル】で目覚めを迎えます

さらに、朝の光で体内時計がリセットされつつ、コルチゾルが分泌されて体も覚醒し、日中の活動を支えます

■日中の活動を終えた起床から15時間後、体内時計によって(7時起床であれば22時)頃に眠気を誘うメラトニンが分泌されて眠気が出はじめ、再び【アデノシン】と【オレキシン】の入眠スイッチによって睡眠に入る

これが、現在考えられている眠りの仕組みです

●良い睡眠を取るために

■よい睡眠を取る工夫

■よい良い睡眠というのは

・寝つきが良く

・6~8時間程度、深くしっかり眠り

・起きたときにすっきりして日中に眠気を感じない

と整理できますが、この仕組みで考えれば大切なポイントは日中にしっかり【アデノシン】と【オレキシン】を貯めて、寝る時にパタンとスイッチが入って睡眠を維持できる状態・リズムをつくる、ということになります

■寝付きを良くするためには、

・日中は、しっかり活動する(【アデノシン】と【オレキシン】を貯める)

・昼寝は20分程度に留めて、30分以上眠らないようにする(深い睡眠に入って【アデノシン】と【オレキシン】が消費されないようにする)

・夜にコーヒーや玉露などカフェインは取らない(【睡眠圧】の低下を防ぐ)

・夜間は部屋の照明を暗めに、スマホなど直接目に入る光を避ける(体内時計が巻き戻されてメラトニン(睡眠を誘う物質)の分泌が遅れるのを防ぐ)

■深くしっかり眠るためには、

・夜は、お風呂など体を温めたり休めたりして交感神経を鎮め、リラックスする(ただし就寝前の熱い風呂は深部体温が高くなるため寝付けず逆効果)

・寝室を暗く、静かに、快適な温度・湿度を保つ。適度な硬さの快適な寝具(外部からの刺激がなく、リラックスできる環境)

■朝、すっきり目覚めるためには

・朝の光をしっかり浴びて軽く体を動かす(体内時計をリセットして一定のリズムを作り、活動物質コルチゾルの分泌を促す)

・夜に眠くなったら体の言うことを聞いて素直に寝る(体のリズムに従う)

・眠気が続くようであれば30分早く寝てみる(休日の睡眠時間が平日より2時間以上長い場合は睡眠不足。睡眠負債が貯まっている状態)

といったことが効果的です

■とはいえ、意識しすぎも良くありません

睡眠は大事なのに眠れない、これはまずい、眠ろう、眠ろう、と意識をすればするほど、緊張して入眠スイッチが入るのを妨げるからです

横になって目をつぶってれば、体も休まってなんとかなる!

と腹をくくると、逆に気が楽になってストンとあっけなく眠れたりするものです

あまり構えず、毎日の生活のなかでここで挙げたことをヒントにいろいろ工夫をしてみて、そこそこに満足のいく睡眠が取れれば十分、くらいの軽さがちょうどいいのかもしれません

■なお、いびきが大きく途中で呼吸が止まる、睡眠時間は足りているのに日中に強い眠気に襲われるなどの症状がある方は、睡眠の質を大きく低下させ深刻な病気の原因ともなる睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるのでご注意ください

<メディカルノート>睡眠時無呼吸症候群

【参考】

眠っている間に体の中で何が起こっているのか
草思社2024年2月刊
早稲田大学睡眠研究所所長・精神科医 西多昌規 著
・生理学の個別の話を睡眠の観点でまとめ上げた良書。各臓器の仕組み、はたらきが複雑に関連しあって一つの身体として動いているんだという全体像がイメージできる。生理学を学んでいる方にはお勧めです

最強に面白い睡眠
Newton超図解新書2023年8月刊
筑波大学国際統合睡眠医学科学研究機構 機構長 柳沢正史 監修
・新規神経ペプチド「オレキシン」とその睡眠覚醒制御における重要な役割の発見者である柳沢正史さんが監修。睡眠の意味や仕組み、質の良い睡眠のとり方、病気との関係について最新の情報が深く、分かりやすく解説されている

●安眠に効くツボ

■良い眠りを確保するために効果的なツボをご紹介します

■寝付きを良くする【神門】

布団のなかで、片方の手を軽く添えてリラックス。

心を安定させます

■寝付けないときに効くツボ【神門】 | 相模大野ひよこ堂鍼灸院

■眠りの質が良くなる【足三里の灸】

寝る前のリラックスした時間に、長生灸や千年灸を使って熱を感じるまで刺激

しっかりと眠れて、疲れを取ります

■疲労回復に【足三里】 | 相模大野ひよこ堂鍼灸院

■内容は以上です

それでは、また♪🐤

相模大野ひよこ堂鍼灸院 院長


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