■今回は、疲れを取るツボ【足三里(あしさんり)】をご紹介します。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉が東北を旅した紀行文『奥の細道』の序文に
「三里に灸すゆるより、松島の月まず心にかかりて」
という、旅立ちに向けて三里に灸を据える記述があります。
この時代には、「三里に灸の痕なきものと旅をすることなかれ」という言葉もあって、旅には欠かせないツボでありました。
■【足三里】にはいろいろな効果があります。
・長く歩くと疲れてくる前脛骨筋という筋肉をゆるめ、足の疲労を取る直接的効果
・足の陽明胃経の合穴であり、胃腸の働き(消化機能)を高める効果
・自律神経を介して全身の緊張を取り、穏やかにしてゆっくりと体を休める効果
など。
【足三里】は、昔から養生、長寿のツボとして知られています。
この足三里へのお灸を続けることで、心が落ちつき、しっかり眠れて疲れも取れて元気な毎日を過ごすことが出来る、
というところが養生、長寿のツボといわれる所以なのでしょう。
実際、明治・大正生まれの世代(私の祖父、祖母の世代)までは、足三里の灸は日常生活の中に普通に取り入れられていて、幼少期のおぼろげな記憶として残っております。
■<ツボの取り方>
【足三里】(あしさんり)
<取穴方法1>
膝のお皿の下の外側にくぼみがあります。(【犢鼻(とくび)】というツボです)
そこから(第二関節部の幅で)指4本分下の筋肉の部分に【足三里】があります。
<取穴方法2>
脛の骨の稜線を下から撫で上げて指が止まるところ、そこから脛の骨の外側の筋肉の中に取ります。

どちらのやり方でも同じポイントになります。
正確にツボを取れると効果も高まるので、出来れば両方のやり方で確かめながらツボの位置を取って頂くのが良いでしょう。
慣れてくると、指先で探った時に、ああここかな、という感じがつかめてくるかと思います。
■<刺激の仕方>
せんねん灸などのお灸が良いです。
おすすめは<長生灸:ライト>です。
まず、【足三里】を指先でやわらかくゆっくりと押してゆっくり戻す、という感じで10回ほどマッサージをします。
そうすると、ああここがツボだなあ、という感じがさらにはっきりしてくると思います。
そこに蛍光ペンなどで印をつけ、せんねん灸や長生灸に火をつけて、印のところに貼り付けます。
じんわりと温まる感じを楽しんでください。
■熱さがつらい感じになったら、すぐ外して構いません。無理をして我慢する必要はありません。
先がすべて黒くなってからしばらくしても熱を感じないときは、一度外してお代わりをしましょう。3つくらいまでなら良いと思います。
なお、高齢の方や糖尿病の方など感覚が鈍くなっている人は、熱を感じにくくなっているので低温火傷になる可能性があります。お代わりはやめておきましょう。

■【足三里】は万病に効く、万能のツボと言ってよいですが、胃の働きを亢進させるので胃痛・胃炎の方には【梁丘(りょうきゅう)】の方をお勧めします。

それではまた🐤
※この記事は一般的なツボの効果について記載しています。体の状態によっては、正確にツボの場所を刺激しても効果が出ない場合もあります。本来は鍼灸師が実際に体の状態を診てツボを選ぶものなので、さらに一歩進みたい方は是非お近くの鍼灸院をお訪ねください🐤
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