今年も残すところ一月。皆さま如何お過ごしですか?
日が暮れるのもすっかり早くなってしまいましたが、12月22日の冬至を越えれば少しづつ日の長さも戻りはじめ、新年に向けて気分も上昇に転じてきます
春はその先にあります
●十二月の鳥<マガモ>

■秋から冬にかけて池に来る鴨
雄は首が青くて色あいが美しく、面白いですよね
色艶の良さを雌に選んでもらおうということなのだろうけれども、当然脂がのっているということでもあります
鴨南蛮の美味しい季節です
■ところで、アヒルはマガモが家畜化したもので、Wikiによるとマガモとアヒルの雑種は野生を取り戻すのだそうです
すっかり野生が失われたこの令和の時代、少しわくわくする物語のネタになりそうな話ですね
●十二月の過ごし方:足先の冷えに注意
■冷えは健康の大敵です
冬は東洋医学では【腎】の季節。腎は下腹、腰にあり生命の火種である【命門の火】を守ります
この時期に足先を冷やし、冷気が腰にまで及ぶとこの生命の火種に影響が及び、体を温める力が弱まり、健康を損ねやすくなります
■体の末端部の足先は毛細血管が拡がっていて熱を奪われやすくなっています
部屋では素足で過ごす方も多いと思いますが、足先から熱を奪われないようにスリッパなどで断熱するなどの工夫をしましょう
特に受験生の方は、頭寒足熱、足先が冷えないように気を付けてください
■というわけで、12月号は冷え対策についてまとめていきます
●冷えの種類
■【寒邪】による冷え
■寒気に長くさらされていると【寒邪】が体に侵襲してきます
悪寒や寒がり、四肢の冷えとして現れ、進行すると体を温める力が衰え、エネルギーや血の巡りが悪くなって頭や体のあちこちに痛みやこわばりなどを生じ、四肢の冷えも強まります
■また、冷たいものを多く摂り過ぎると体の内部から冷えを生じ、体を温める力が弱まって同じような症状を起こします
■【腎陽虚】による冷え
■加齢や病中病後、虚弱体質などの場合、体を温める力が弱くなり、腰や膝、腹部、四肢の冷え、寒がりなどを生じることがあります
■また足腰がだるく、力が入らず、精神的な疲れを感じたり、下痢や夜間尿などの原因になることもあります
■【脾陽虚】による冷え
■食べ物を消化してエネルギーに変換するお腹のはたらきの悪さから体を温める力が弱まって生じる冷えです
■食欲不振や便の緩さ、お腹の張り、倦怠感、息切れ、めまいなどの【脾気虚】症状から進行し、お腹の冷え、腹痛、下痢を起こしたり、強い倦怠感や疲れ易さ、精神的な無力感を生じたりします
■いずれにしても、対策としては体を温めることが大切です
ここから、様々な体の温め方についてご紹介していきます
●冬至のゆず湯

■寒い外から帰ってきた後にゆったりと入るお風呂は芯から冷えた体が温まって生き返りますよね
冬の風物詩といえばお風呂にゆずを浮かべる、ゆず湯です
冬至と湯治をかけているとも言われています
おうちで温泉気分というわけです
■丸ごとのゆずをしっかり洗って農薬を落とし、つまようじでいくつか穴をあけるか切れ込みを入れて3~5個ていどお風呂に浮かべます
ゆずの成分と香りによる血行促進作用とリラックス効果で、体が温まり気持ちも和らぎます
免疫力も高まり風邪を引きにくくなるという説もありますが、少なくとも血行促進とリラックスの観点から言えば効果はあるでしょう
スーパーでゆずを見かけたら、ちょっと試してみてはいかがでしょうか
●足湯のすすめ

■ゆず湯でゆったり温まる余裕が無いときには足湯もいいです
足だけでなく、体全体が温まり血行が良くなって、十分なリラックス効果と疲労回復効果を見込めます
■好きな推しの曲を聴くもよし、ゆっくり本を読むもよし、静かに瞑想するもよし、リラックスした時間をゆったり過ごしましょう
また、毎日の足湯は体力・免疫力回復にも効果があるので病中病後で体力の無い方や、日頃の疲れが溜まっている方は冬場の冷え対策に限らず一年中お勧めです
■足湯のやり方
1. 両方の足首が浸かるサイズのたらいにやかん等で沸かした熱いお湯を入れ、手を入れようとしてもちょっとすんなりとは沈められないな、と感じるくらいの熱さまでお湯と水で調節します
2.椅子やソファーの前の床にバスタオルなどをひいて足湯のたらいを置きます。足ふき用のタオルも忘れずに
3.椅子やソファーにゆったり座り、ゆっくりと熱さに慣らしながら足首まで沈めましょう
4.いい感じに温まるとピンクの靴下を履いたように足首から先の色が変わります。血行が良くなったサインです
・体の芯が温まるまでゆっくりと楽しみましょう
・入浴剤などを使ってみるのも良いと思いますが、濃い薬剤が皮膚に残ると痒みが出る場合があるので温かい濡れタオルでしっかりとぬぐうといいでしょう
・足湯の桶はネットで手に入るバケツタイプのフットバスが便利です
↓ こんな感じのものをお好みで🐤
●箱灸を作ってみよう
■お灸の一種で【箱灸】(はこきゅう)というものがあります
箱の中でもぐさを燃やして、間接的に患部をあたためるお灸です

■お腹が冷えて調子の悪い時や、気力が無く、弱って元気がない時に効果的です
また、ご家族の方に手伝ってもらって腰を箱灸で温めれば下半身の冷えにも効きます(【腎兪】の記事を参照)
■箱灸の作り方
<用意するもの>
・牛乳パック(口を開き、中を洗ってしっかり乾燥させたもの)
・外径74mm程度の茶こし(柄の無いもの・網目は細かいもの、100均などで手に入ります)
・千代紙など表面の見栄えを良くするもの(100均で見かけるシールタイプのものが便利です)
・のり、ハサミ
<作り方>

1.牛乳パックを90mm程度の高さに切り取ります
2.コーナー部に上から10mmの切れ込みを入れ角を切り取ります
3.上から10mmの部分で内側に折り、茶こしの台座を作ります
4.千代紙などを表面に張って見栄えを良くします(箱の下の縁をしっかり覆うと肌に載せた時のエッジ感が取れます)
5.牛乳バックの余った部分を70mm×70mmの正方形に切り取りふたを作ります
6.端材で取っ手を作り、ふたにのりで貼り付けます(セロテープは熱で溶ける可能性があるので、のりを使いましょう)
7.台座に茶こしを載せて完成です
■箱灸の使い方
●用意するもの
・先ほど作った箱灸とふた
・灰皿、線香、ライター、線香立て(あれば便利)
・もぐさ(ネットなどで手に入ります。点灸用の中級品くらいだと煙が少なくて良いと思います)

【1】 もぐさを親指の先くらいの大きさに指先で取り、三角形にカタチを整えます(形がまとまる程度)

【2】 おなかを出して仰向けになり、もぐさを一つまみ入れた箱灸を置き、線香に火を付け、もぐさに着火します
写真は片手でやっていますが、実際は左手で箱を支えて右手で線香を使います

【3】 箱灸を温めたい場所に載せます
おへその下あたり(【気海】や【関元】)おへその上(【中脘】)などがポイントになりますが、あまり気にせず、お腹の冷えているところ、ぐりぐりして痛いところ、へなっと弱いところに置くのが良いです
※おへそに直接置くのは火傷の危険があるので避けましょう

【4】 次第にもぐさに火がまわり、温かくなってきます
熱くなったら、すこし場所を動かして広範囲を温めましょう
燃え切って熱が弱まって、まだ物足りない時は準備しておいた指先大のもぐさを追加して着火して、お代わりです
【5】 お灸の熱さがきつい場合は、少し隙間を開けてふたを載せて熱さを弱めます
(隙間の大きさで供給される空気の量を調節)

【6】 お腹が温まり、満足したら終了です
【7】 茶こしの中のもぐさを灰皿に空けて、念のため水道で水をかけてしっかり火を消して三角コーナーなどに捨てましょう
【火気注意】布団や毛布などに燃え移らないように、また火傷をしないように、線香、線香の灰、お灸とも、火の取り扱いには十分に注意してください
もぐさは、こんな感じのお手軽なものをお選びください(高級品でないものでOKです)↓
●足腰の冷えに効くツボ【腎兪】

■<効果>
足先や下半身の冷えに対して【腎】を補い体を温める力を助けます
■<ツボの取り方>
腰骨(骨盤の上部)から指三本上、背骨の両脇
今回は、だいたいの位置で構いません※

※正確な取穴方法は、第2腰椎棘突起下方の陥凹部(【命門】)の外方1.5寸(第二関節の指の幅、約2本分)です
■<刺激の仕方>
肌着越しにカイロなどで温めます(低温火傷に注意しましょう)
家族の方にお願いして箱灸をやってもらうのも効果的です
是非、試してみてください。
■今月号の内容は以上です。
「よい睡眠」、「適度に運動」、「おいしくご飯」
今月も健やかに参りましょう!
それでは、また♪
相模大野ひよこ堂鍼灸院 院長🐤

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