■皆さま如何お過ごしですか?
一気に暖かくなり桜も咲き始めたと思ったら、真冬のような寒い雨が降ったりして気候が安定しませんね。
しかし、ここを抜ければ春本番、それまで体調を崩さないようにお気をつけください。
<もくじ>
・卯月の由来
・良い睡眠をとるコツ
・疲れを取るツボ【足三里】
卯月の由来
■4月は旧暦の和風月名で【卯月(うづき)】です。
実際にはもう少し先、4月の下旬から6月初めの新緑の爽やかなゴールデンウィーク頃に当たります。
卯月は夏の始まりの月。
気候を考えると、確かに初夏ですね。
■卯月の由来は、卯の花(空木:うつぎ)が咲く季節からというのが有力だそうです。
空木(うつぎ)は山野の路傍や人里などの日当たりの良い場所に普通に自生する低木です。いつもの散歩道で知らずに出会っているかもしれません。
昔の人は卯の花に足を止め、季節を感じていたのでしょう。

良い睡眠をとるコツ
■さて、4月は新しい生活が始まる方も多いと思います。
生活はそのままでも接する人が入れ替わったりして新しい空気を感じます。
何かが変わるとわくわくする期待感と同時に少し緊張したりもして、ともすると生活リズムが崩れてしまいがちです。
生活リズムを整えるには、まずは良い睡眠から。
そこで今回は、良い睡眠をとるコツをお伝えします。
■安眠のヒント
①夜は明かりを落として過ごす
■朝の明るい光には体内時計をリセットして体をすっきりと目覚めさせる働きがあります。
逆に夜に明るい光を受けると体内時計が巻き戻されてなかなか眠りに入れなくなります。
夜は部屋の明かりを少し暗めにして過ごしましょう。
寝る前にスマホの強い明かりを浴び続けるのも良くありません。少し離してみるなどの工夫をしてみましょう。
②夕食後にソファーで眠らない
■食後のお昼寝は疲れが取れますよね。
15分から20分の仮眠が良いとされています。
しかし夕方から夜にかけての仮眠は良くないようです。
眠気は起きている間に貯まっていき、一定量に達すると「ししおどし」がカッターんと倒れて水を流すように、眠りのスイッチが入るのだそうです。
活動しているときに体内の細胞に溜まっていくのがアデノシンという眠気に関わる物質で、脳の視床下部で覚醒状態を保つ役割をするオレキシンという「重し」と拮抗し、覚醒と睡眠のバランスを司っているのです(Newton 「睡眠」柳沢正史:監修 P88)
夕方以降の時間帯に眠ってしまうと、貯まっていた眠気物質アデノシンの働きが弱まってしまいます。
そうすると夜に眠りに就こうという時になってもなかなか寝付けず、夜中を過ぎても布団の中で悶々と過ごすということになりかねません。
■疲れて帰って食後はソファーで横になりたい、そのまま眠りたい。
すごく分かります。
でも、十分お分かりかと思いますが、生活音のある明るいリビングで無理な体勢で寝るソファーでの仮眠では、疲れはあまり取れず睡眠不足も解消されません。
そういう時はお布団に入ってしっかりと眠ってしまいましょう。
■睡眠は90分サイクルで6時間(90分×4)程度の睡眠を連続して取ることに意味があります。
はじめは深い眠りのサイクルで、徐々に浅い睡眠のサイクルになるのですが、深い睡眠だけでなく比較的浅い睡眠にも役割があるようなのです。
その意味でも、寝るときは静かな寝室に行ってあたたかいお布団にくるまり、しっかりと連続して朝まで寝ることが大切なのです。
③夕食後のコーヒーは控えめに
■コーヒーはおいしいですよね。
けれども夜のコーヒーは想像以上に寝付きが悪くなります。
カフェインには先の眠気物質アデノシンの働きを弱める働きがあるからです。
私もコーヒーが大好きなのですが、夜9時以降にコーヒーを飲むとほぼ確実に寝付きが悪くなります。
■人によって効果の違いはあると思いますが、就寝の4~6時間前くらい(カフェインの血中濃度の半減期)を目安に、カフェインを控え目にするのが良いかと思います。
夕食後は温かい煎茶や紅茶、ココアとか(※)、気持ちの緩んでリラックスできるお好みの飲み物で過ごされるのが良いですね。
(※これらの飲料のカフェイン濃度はコーヒーの半分くらいです。寝る直前は温かい麦茶とかお白湯が無難かもしれません。なお玉露のカフェイン濃度はコーヒーの3倍のようなのでご注意を。)
■良い睡眠は、疲れを取り、神経を鎮め、心を穏やかにします。
結果、朝を清々しく迎え、一日を溌剌と過ごすことが出来るようになります。
週末の寝だめだけでは解消しません。
皆さん、忙しい毎日を過ごしていてなかなか睡眠時間を取れなかったりすると思いますが、だからこそ、限られた睡眠時間を心地よく過ごされるよう、いろいろ工夫をしてみてはいかがでしょうか。
是非ともご参考にしてください。
疲れを取るツボ【足三里】
■今回のツボは【足三里(あしさんり)】です。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉が東北を旅した紀行文『奥の細道』の序文に
「三里に灸すゆるより、松島の月まず心にかかりて」
という、旅立ちに向けて三里に灸を据える記述があります。
この時代には、「三里に灸の痕なきものと旅をすることなかれ」という言葉もあって、旅には欠かせないツボでありました。
■【足三里】は、養生、長寿のツボとして知られています。具体的には、疲れを取る、胃腸の働きを良くする。という効果が挙げられますが、夜に灸を据えると睡眠の質を上げる効果も見込めます。
筋肉に刺激を加えることで足の疲労が取れるという直接的効果もあるのですが、自律神経を介して全身の緊張を取り、穏やかにしてゆっくりと体を休めるという効果もあるわけです。
この足三里への灸を続けることで、しっかりと眠れて疲れも取れて元気な毎日を過ごすことが出来る、というところが養生、長寿のツボといわれる所以なのでしょう。
実際、明治・大正生まれの世代(私の祖父、祖母の世代)までは、足三里の灸は日常生活の中に普通に取り入れられていて、幼少期のおぼろげな記憶として残っております。
■<ツボの取り方>
【足三里】(あしさんり)
<取穴方法1>
膝のお皿の下の外側にくぼみがあります。(【犢鼻(とくび)】というツボです)
そこから(第二関節部の幅で)指4本分下の筋肉の部分に【足三里】があります。
<取穴方法2>
脛の骨の稜線を下から撫で上げて指が止まるところ、そこから脛の骨の外側の筋肉の中に取ります。

どちらのやり方でも同じポイントになります。
正確にツボを取れると効果も高まるので、出来れば両方のやり方で確かめながらツボの位置を取って頂くのが良いでしょう。
慣れてくると、指先で探った時に、ああここかな、という感じがつかめてくるかと思います。
■<刺激の仕方>
せんねん灸などのお灸が良いです。
おすすめは<長生灸:ライト>です。
まず、【足三里】を指先でやわらかくゆっくりと押してゆっくり戻す、という感じで10回ほどマッサージをします。
そうすると、ああここがツボだなあ、という感じがさらにはっきりしてくると思います。
そこに蛍光ペンなどで印をつけ、せんねん灸や長生灸に火をつけて、印のところに貼り付けます。
じんわりと温まる感じを楽しんでください。
■熱さがつらい感じになったら、すぐ外して構いません。無理をして我慢する必要はありません。
先がすべて黒くなってからしばらくしても熱を感じないときは、一度外してお代わりをしましょう。3つくらいまでなら良いと思います。
なお、高齢の方や糖尿病の方など感覚が鈍くなっている人は、熱を感じにくくなっているので低温火傷になる可能性があります。お代わりはやめておきましょう。

■【足三里】は万病に効く、万能のツボと言ってよいですが、胃の働きを亢進させるので胃痛・胃炎の方には【梁丘(りょうきゅう)】の方をお勧めします。

■今月号の内容は以上です。
「よい睡眠」、「適度に運動」、「おいしくご飯」
今月も健やかに参りましょう!
それでは、また♪
相模大野ひよこ堂鍼灸院 院長
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