熱中症は命に関わる症状です。
自分が熱中症にかからないために、また身の回りの人が熱中症になった時に慌てず適切な対応ができるように、参考にしてください。
■熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温調整機能が崩れたりすることなどによって、体内に熱がこもった状態のことです。
熱中症は炎天下で運動したような場合だけでなく、高齢者が熱帯夜にエアコンを使用せず寝ているうちに室内で発症する可能性もあります。
■熱中症の症状と応急対応
重症度に応じてⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中等度)、Ⅲ度(重度)に分類され、重症度によって現れる症状が異なります。
■熱中症Ⅰ度(軽度)
【症状】
・めまい、立ちくらみ
・筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)
・手足のしびれ
脳に十分な血流が不足することでめまい・失神が生じ、多量の発汗による電解質(ナトリウムやカリウムなど)不足によって筋肉痛・筋肉の硬直が起こると考えられています。
■熱中症Ⅰ度(軽度)への対応
【対応】
●<移動>風通しのよい日陰や室内など涼しい場所へ
●<水分補給>適度に塩分を含むスポーツドリンクや経口補水液などを飲ませる(体を冷やすために冷たい飲料を選ぶ)
●<冷却>体を冷やす。衣類をゆるめ、太い血管のある脇の下や両側の首筋、足の付け根を氷や冷たいペットボトルで冷やす、冷たい濡れタオルで体を拭くなど、直接体を冷やすのも有効。うちわや扇風機などで風にあたるのもよい。(汗の気化による冷却を促進)
●<経過観察>
・自力で水分摂取ができない場合
・症状が改善しない、または悪化する場合
→ 平日の日中なら近くの内科や総合診療科、小児科などへ、休日・夜間であれば救急外来を受診。
■Ⅱ度(中等度)
【症状】
・頭痛
・吐き気、嘔吐、気分の不快
・体がぐったりする、力が入らない
このような症状は水分や電解質不足が進行することによって生じます。
■Ⅲ度(重度)
【症状】
・意識障害(意識がなくなる・もうろうとする)
・全身のけいれん
・手足の運動障害(まっすぐ走れない・歩けない)
・高体温
脳などの中枢神経や肝臓・腎臓などの臓器に障害が起こります。また、脱水の進行に伴って汗が出なくなります。
■熱中症Ⅱ度(中等度)・Ⅲ度(重度)への対応
【対応】
●早急な受診が求められます。
●熱中症は急速に症状が進行し、死に至ることもあります。そのため、Ⅱ度・Ⅲ度の症状が見られたらすぐに救急外来を受診するか救急車を呼ぶなどの対応が必要です。
●病院を受診するまでの間、救急車の到着を待っている間も水分補給や体を冷やし続けるようにしましょう。ただし、意識がない場合は誤飲の可能性があるので無理に水を飲ませてはいけません。
【熱中症の応急処置のポイント】(熱中症ゼロへ―日本気象協会)
分かりやすくイラストでまとめられています
■熱中症予防のポイント
熱中症にならないためのポイントをまとめました。
【熱中症予防のポイント】
・喉が渇く前に水分補給
・塩分をほどよく取る
・気温と湿度に注意をして行動
・室内を涼しくする
・良い睡眠とバランスの良い食事
■喉が渇く前に水分補給
水分補給を怠ると脱水に陥ってしまう恐れがあります。日常生活で摂取すべき水分の目安は1日あたり1.2Lとされ、発汗量が多い熱中症の時期にはそれに見合った更なる水分補給が必要です。
外出するときは飲み物を持ち歩き、のどがかわいていなくても小まめに水分をとりましょう。スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料は水分の吸収がスムーズにでき、汗で失われた塩分の補給にもつながります。
なお、アルコールは体内の水分を排泄させてしまいます。そのため、汗で失われた水分をお酒で補給しないようにしてください。
■塩分をほどよく取る
汗を大量にかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまいます。
そこに水分補給だけを行うと、血液中の塩分・ミネラル濃度(体内における塩分やミネラルの割合)が低くなり、それ以上の水分補給を受け付けにくくなるだけでなく、様々な熱中症の症状が出現します。
つまり、水分だけを補給することがかえって、熱中症の発症へとつながったり、悪化させたりすることもあるのです。
【塩分補給の方法】
・スポーツドリンク
・塩分入りタブレット
・ゼリー飲料
・塩こんぶ
・梅干し
・塩(水1Lに対して塩1~2g)
【熱中症対策のポイントは水分補給だけでなく塩分補給!】(熱中症ゼロへ―日本気象協会)
■気温と湿度に注意をして行動
いま自分のいる環境の気温や湿度をいつも気にしましょう。屋内の場合は、日差しを遮ったり風通しを良くすることで、気温や湿度が高くなるのを防ぎましょう。
熱中症対策は暑さを避けることが第一ですが、30℃を超える暑い日だけでなく、気温がそれほど高くなくても暑く感じる日は多めに休憩を取るなどして無理をしないことが大切です。
【暑さ指数(WBGT)とは?】(熱中症ゼロへ―日本気象協会)
■室内を涼しくする
熱中症は室内でも起こります。過度の節電や「この程度の暑さなら大丈夫」とガマンしてはいけません。
冷房などを使用して室温28℃を目安に、適切な温度となるようにしましょう。なお、冷房の設定温度を28℃にしても室内が28℃になるとは限らないので、温度計で確認しながら室内温度を調整しましょう。
冷房以外に扇風機を使用したり、ブラインド、すだれなどで窓から差し込む日光を遮ったりすることも効果的です。
■良い睡眠とバランスの良い食事
通気性や吸水性の良い寝具をつかったり、エアコンや扇風機を適度に使って睡眠環境を整え、寝ている間の熱中症を防ぐと同時に、日々ぐっすりと眠ることで翌日の熱中症を予防しましょう。
また、食欲がないからといって食事を抜いたり、食べる量を極端に減らしたりすると体調が崩れ、熱中症にかかりやすくなってしまいます。体調が悪いときには十分に食事ができるまで、暑い場所での活動を控えましょう。
バランスのよい食事やしっかりとした睡眠をとり、熱中症にかかりにくい体をつくることが大切です。
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【熱中症にならない工夫】
・衣服を工夫する
・直射日光を避ける
・冷却グッズを身につける
■衣服を工夫する
衣服を工夫して暑さを調整しましょう。衣服は麻や綿など通気性のよい生地を選んだり、下着には吸水性や速乾性にすぐれた素材を選ぶとよいでしょう。
また、炎天下では熱を吸収して熱くなる黒色などの衣類を避けるようにしましょう。
■直射日光を避ける
外出時には日陰を選んで歩いたり、日傘や帽子で直射日光を避けたりするようにしましょう。
特に身長が低い子どもやベビーカーに乗っている赤ちゃんは、地表面からの熱の影響を受けやすいので注意が必要です。子どもの顔が赤いときや多量の汗をかいているときには涼しい場所で十分に休ませてあげましょう。
また、天気予報などを参考にし、暑い日の外出を避けたり時間帯を考慮したりして出かけるようにしましょう。
■冷却グッズを身につける
冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズを利用しましょう。
首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができます。
【出展】
・熱中症について | メディカルノート
・熱中症ゼロへ 日本気象協会
■熱中症に対する鍼灸治療の役割
■熱中症の急性症状に対しては、鍼灸で対処するより応急処置と医療機関への受診が優先されます。
鍼灸治療の役割としては、暑さや湿度によって乱れがちな自律神経(体温調節、発汗、血液循環など)を安定させ、また寝苦しさを改善して睡眠の質を向上、細りがちな食欲を回復させることで熱中症にかかりにくい体をつくり、支えることになります。
特に体力の落ちている方、自律神経が安定していない方は熱中症にかかりやすい傾向にあるので、どうぞご相談ください。
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ここまでお読み頂きありがとうございました。
内容は以上です。
相模大野ひよこ堂鍼灸院 院長
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