自立神経とその乱れ
●自律神経とは生命を支え、活動のリズムをつくる神経です。
呼吸や血液循環、体温の維持、睡眠と覚醒、消化や排泄など様々な機能を無意識のうちにコントロールし、常に生命活動を支えています。
また、朝の目覚めで交感神経が優位に立って日中の活動を支え、夜になると交感神経が収まり副交感神経が優位に立って休息に入り、睡眠によって心と身体を休めます。
●このように24時間体制で生命活動を支える自律神経ですが、さまざまな要因でバランスを崩してしまいます。
・暑さや寒さ、気圧の変動など
・継続的な心理的ストレス
・過度の肉体的疲労、または運動不足
・飲食のバランス(食べ過ぎ・飲みすぎ)
・感染症や内臓疾患
身体には自律神経・ホルモン・免疫のはたらきによって健康な状態を維持する能力(ホメオスタシス)があるのですが、バランスを崩そうとする力が強く継続的だと回復する力も疲弊してしまい様々なつらい症状が長引くことになるわけです。
その回復力の手助けをするのが東洋医学であり、鍼灸治療なのです。
東洋医学と鍼灸治療
●ここに一枚の板があります。
板の表からは強い太陽の光が照り付けます
あるいは冷たい風雨が吹き付けます
それがずっと続くとそのうちに板は歪んだり、割れたりしてしまいます。
板の裏と表のバランスがくずれてしまったわけです。
東洋医学でいえば陰と陽のバランスがくずれた、ということになります。
●板の場合は一度歪んだり割れたりしてしまうと元には戻りませんが、人の体には自己回復力があり、それを支える源になる力を「原気(元気)」と呼びます。
当院の鍼灸治療では、くずれた陰陽のバランスを整えるとともに、胃腸などの臓器のはたらきを良くして「原気(元気)」がつくのを手助けし回復力をサポートする、という考え方で診察・施術を行います。
鍼とお灸について
●当院はステンレス製の太さ0.18mmの鍼をおもに使います。髪の毛の倍くらいの太さです。注射の針が0.9mmくらいでそれに比べると5分の1の太さですから、身体の状態や打つ場所にもよりますが、ほとんど痛みを感じない場合が多いです。
柄の部分を除く鍼の長さは4cmのものをおもに使います。もちろん全部は入れません。打つ場所や目的によって3mmくらいから深くても2cmくらいで、鍼をしたまましばらくそのままにしておいたり、入れてすぐに抜いたり、手を添えたまま何分もじっくり操作したりします。
●お灸は主に米粒大のもぐさをツボにのせて燃焼させます。連続して3壮から5壮、ちょい熱いくらいの感じをねらいます。
痕が残るのが気になる場合や熱さが苦手な方には台座に1cm角のアルミ片を使うのでご安心ください。
体幹部の冷えが強かったり範囲が広い場合は大きめのお灸を温かさを感じるまでのせたり、棒状のお灸を少し離して患部をひろく温める方法も使います。
鍼灸の効果
●鍼灸の効果には
・痛みやコリを和らげる効果
・全身の血流や免疫を高める効果
・内臓の機能を高める効果
・気分を落ち着かせる効果
などがあります。
●体には頭から体幹、内臓、手、足につながる形で左右それぞれ12本の「経」、頭と体幹の前と後ろの正中に2本の「脈」が走っていて、その流れの上に「経穴(ツボ)」があります。
この経穴に刺激を与えることで、鍼を打ったりお灸をすえた場所と違うところで血が通うような感じがしたり、痛みが軽くなったりという効果が感じられます。
鍼灸師は経脈のつながりを使って、触ると痛い患部から離れた場所から治療をおこなうわけです。
実際にこの感覚を感じやすい人と感じにくい人がいますが、身体の感覚に耳をすませる感じがつかめてくると効果を実感しやすくなるだけでなく、この不思議さが面白くなってくるでしょう。
この楽しさ、面白さが鍼灸をうける醍醐味でもあるわけです。
ご一緒に体感してみてください。